大惨事と情報隠蔽~原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで~

ドミトリ・チェルノフ、ディディエ・ソネット、橘明美・訳、坂田雪子・訳、草思社

 全世界に衝撃を与えた大事故や金融危機、経営破綻、粉飾決算、自然災害、パンデミック、軍事的大敗北、製品リコールなど30件ほどの大惨事を検証し、そこから教訓を導いた書。最近起こったクルマの大規模リコールなども取り上げる。大惨事に共通するのは情報隠蔽、歪曲、保身、傲慢というのが筆者の見立てである。しかも意図的に情報の隠蔽を行っているのが、多くは組織の中心にいる人物だったりする。本書を読むと同じような誤りが繰り返されており、歴史に学ない人間の愚かさがよく分かる。自らを戒める意味で、お薦めの1冊である。

 

 筆者はスリーマイル島原子力発電所事故、スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故、エンロン事件、サブプライム住宅ローン危機、SARSの世界的流行、フォルクスワーゲン・ディーゼル排出ガス不正など、30件も事例を取り上げる。事例の数が多く、中身が希釈化されそうだが、実はそれほど気にならない。むしろコンパクトにまとまっており、問題点を大づかみにするのにはちょうどいい。各事例の最後には、得られる教訓をまとめており、これも理解を助けてくれる。なお情報共有・公開がうまくいった例として、トヨタ生産方式やソニーのバッテリーリコールを紹介している。

書籍情報

大惨事と情報隠蔽~原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで~

ドミトリ・チェルノフ、ディディエ・ソネット、橘明美・訳、坂田雪子・訳、草思社、p.560、¥3024

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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