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横田英史の読書コーナー

江副浩正

馬場マコト、土屋洋、日経BP社

2018.1.5  9:36 am

 リクルートの創業者である江副浩正の評伝。掛け値なしに面白い。筆者は、江副の生い立ち、リクルート立ち上げまでの経緯、ベンチャーの旗手としてもてはやされ次第に傲慢になっていく姿、リクルート事件が起こった背景、リクルート事件以降の状況などを丹念に書き込んでおり読み応え十分である。500ページ近い大著だが、こなれた文章なのでスイスイ読める。

 読みどころはいくつもあるが、未上場の不動産会社「リクルートコスモス」の未公開株をめぐる贈収賄事件で表舞台から姿を消した江副が、被告として、ビジネスパーソンとして、投資家として、家庭人としてどういった人生を歩んだかを追っている部分が充実している。このほか冒頭で2013年2月8日に76歳で亡くなった状況を詳細に紹介しており、けっこうインパクトがある。

書籍情報

江副浩正

馬場マコト、土屋洋、日経BP社、p.496、¥3435

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。