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横田英史の読書コーナー

失敗の法則~日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか~

池田信夫、KADOKAWA

2017.9.1  12:17 pm

 最近の東芝事件や電通の長時間残業問題、豊洲問題、原発事故などを題材に、日本社会や企業が陥りがちな「失敗の法則」を検証した書。8つの法則のレベル感にバラツキがあるのが気になるが、「日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか」について納得感のある論考が並ぶ。8つの法則の呪縛から逃れるのが、日本人にとって非常に大変なのも同時に感じさせられる。

 例えば第1法則は「現場が強いリーダーを許さない」。東芝事件の主役の一人である西田厚聡・元社長を挙げて、組織の構造を変える強いリーダーを日本企業が許さないことを明らかにする。第2法則は「部分が全体を決める」である。多くの利害関係者が互いに牽制しあい、最終的な決定者のいない日本組織の問題点を指摘する。第4法則「『空気』は法律を超える」の題材は通信キャリアと東京電力である。役所と業者の貸し借りや忖度が横行する現状を取り上げる。

書籍情報

失敗の法則~日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか~

池田信夫、KADOKAWA、p.224、¥1512

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。