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横田英史の読書コーナー

Mr.トルネード~藤田哲也 世界の空を救った男~

佐々木 健一、文藝春秋

2017.8.24  7:09 pm

 2016年に NHK テレビで取り上げられた気象学者・藤田哲也の評伝。竜巻など局地的な気象現象の研究者として知られ、学者として名を成した米国では「Mr.トルネード(竜巻)」と呼ばれた。著者は関係者へのインタビューを積み重ね、藤田の人生と業績、人柄を明らかにする。読み応えのあるノンフィクションでお薦めである。ちなみに竜巻の強さを表す「F スケール」は藤田の名前に由来する。

 着陸間際の飛行機を襲う突風「ダウンバースト」を1970年代半ばに発見し、原因を突き止めた。これによって航空機の墜落を未然に防ぐことができるようになり、事故の激減につながった。

 学者としての藤田はとてもユニーク。理論家ではなく、徹底した実践家・観察者である。例えば、気象現象を図で3次元的に視覚化する能力に長けていたことで「気象界のウォルト・ディズニー」、現場に残る遺留物から推理を働かす仕事ぶりから「気象界のシャーロック・ホームズ」という異名があったほどだ。「まずは道具作りから」という姿勢もいい。

書籍情報

Mr.トルネード~藤田哲也 世界の空を救った男~

佐々木 健一、文藝春秋、p.292、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。