衰退の法則~日本企業を蝕むサイレントキラーの正体~

小城 武彦、東洋経済新報社

 経営破綻する日本企業に見られる「衰退のメカニズム」について経営学と文化心理学の観点から論じた書。日本企業特有の文化心理学的な“癖”によって経営者の意思決定が、事業環境が悪くなると負のスパイラルに陥ると主張する。破綻する企業と繁栄する企業、オーナー企業と非オーナー企業、全13社について、87人の関係者のインタビューや経営指標に基づき分析を加える。筆者が至った結論は画期的とは言いづらいが、日本企業の“あるある”的な問題を的確に指摘しており納得性は高い。頭の整理に役立つ1冊である。

 

 衰退のメカニズムは、平時には息を潜めているが、いったん有事で事業環境が変化すると牙をむき、企業の適応を著しく困難にする。具体的には事業環境の変化に対する感度の低下、意思決定における戦略性や経済合理性の低下、組織内に摩擦を生じる事業構造改革への躊躇といった状況が生まれる。

 

 破綻企業の経営陣の意思決定プロセスは予定調和的な色彩が濃いと指摘する。出世の条件として調整能力が重視されることもあり、経営陣は社内での対立を極力回避する、役職や入社年次、学閥、本流部門といった社内秩序や社内政治を重んじる行動パターンをとりがちになる。ちなみに本書は、元通産官僚で産業再生機構や破綻後のカネボウ社長、丸善社長などを務めた筆者が東大で書いた博士論文を一般向けにリライトしたもの。

書籍情報

衰退の法則~日本企業を蝕むサイレントキラーの正体~

小城 武彦、東洋経済新報社、p.362、¥3240

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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