ペンタゴンの頭脳~世界を動かす軍事科学機関DARPA~

アニー・ジェイコブセン、 加藤万里子・訳、太田出版

 1958年設立の米高等研究計画局(ARPA)、後継の国防高等研究計画局(DARPA)が開発した公表されている技術を中心に紹介した書。ドローンや生物兵器、コンピュータ・ネットワーク、宇宙空間を使った防衛システム、ステルス技術、各種センサー(地震、歪み、時期、赤外線)、戦闘スーツなどを取り上げる。ゲリラの動きをキャッチするために、道の周囲にセンサー埋め込む「電子障壁」といった話も登場する。このほか DARPA を牽引する天才科学者集団ジェイソンの存在についても言及する。 秘密のベールの覆い隠された DARPA の実態が垣間見える書である。

 

 ドローン技術がベトナム戦争中の1960年代初期に開発が始まっていた、米国警察の特殊部隊 SWAT の装備の大半はベトナム戦争中に研究されたものなど、10年~20年先を行く未来の兵器システムを手がける DARPAらしい話が満載である。ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争、さらにソ連との冷戦とDARPAが開発した技術のかかわり読むと、戦争が技術開発に与える影響の大きさを改めて実感させられる。

 

 興味深いのは社会科学者の存在である。テロ対策では人民を理解することが不可欠であり、無用の殺戮を避けるために社会科学者と人類学者を米軍に同行させて人間地形図(ヒューマン・テレイン・システム:The Human Terrain System)を作り上げるというもの。筆者はこういう米軍将校のコメントを取り上げる。「第一次世界大戦は科学者の戦争だった。第2次世界大戦は物理学者の戦争だった。対テロ戦争は社会学者の戦争だ」と。

書籍情報

ペンタゴンの頭脳~世界を動かす軍事科学機関DARPA~

アニー・ジェイコブセン、 加藤万里子・訳、太田出版、p.592、¥3996

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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