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横田英史の読書コーナー

《推薦》ポピュリズムとは何か

ヤン=ヴェルナー・ミュラー、板橋拓己・訳、岩波書店

2017.7.31  12:59 pm

 史実を踏まえながら、ポピュリストの反多元主義的な論理の問題点、ポピュリズムの蔓延による民主主義の危機などについて政治思想史家が警鐘を鳴らした書。ポピュリズムに関する書を数冊読んだが、最もできが良く説得力に富む。本書を読むと、米国のトランプ大統領の言動はポピュリストの論理に沿っていることがよく分かる。現在の日米政権の言動を理解したい方にお薦めの1冊である。

 ポピュリストの問題点は「人民を代表するのは自分たちだけだ」という反多元主義的な論理にあると指摘する。ポピュリストは自分たちだけが正しく、自分たち以外の者の意見や議論には全く耳を貸さず排除する。まさに民主主義を脅かす存在である。

書籍情報

ポピュリズムとは何か

ヤン=ヴェルナー・ミュラー、板橋拓己・訳、岩波書店、p.176、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。