そろそろ、人工知能の真実を話そう

ジャン=ガブリエル ガナシア、伊藤直子・訳、小林重裕・訳、早川書房

 パリ第六大学でAI研究チームを率いる哲学者がシンギュラリティを徹底的に批判した書。自然科学やビジネス的な側面からだけではなく、宗教、倫理、論理といった人文科学的な視点を踏まえ「シンギュラリティは物語でしかない」「シンギュラリティ論が唱える時間の断絶(不連続)は起こらない」と断じる。

 

 哲学者の書にもかかわらず、技術的にもポイントをきちんと押さえているのが特徴である。すべての主張が納得できるわけではないが、刮目に値する内容が含まれているのも確か。多面的で俯瞰的な観点からの論考はヨーロッパの知識人らしい。

 

 特に 米 Googleや 米 Facebook、米 Amazon などがシンギュラリティについて積極的に発言する背景についての考察は興味深い。自ら率先して情報技術の発展を推し進めていながら、 AI の暴走を予測して技術開発に歯止めをかけようとする、ビル・ゲイツ、ビル・ジョイといった IT 大手企業の幹部は「放火魔の消防士」と手厳しい。

 

 この書評で取り上げた人工知能の開発者自らが著した「人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?」と併せて読むと、いろいろと考えさせられるのでお薦めである。

書籍情報

そろそろ、人工知能の真実を話そう

ジャン=ガブリエル ガナシア、伊藤直子・訳、小林重裕・訳、早川書房、p.192、¥1404

 

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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