横田英史の読書コーナー
《推薦!》人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?~最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質~
山本一成、ダイヤモンド社
2017.6.15 9:41 am
将棋の名人に公式戦で勝利した将棋ソフト「ponanza( ポナンザ)」の開発者で愛知学院大学で特任准教授を務める著者が、ポナンザ誕生から進化の過程、さらには米Google の「アルファ碁」など AI について論じた書。将棋や囲碁ソフトがのどような過程を経て進化したかをとても分かりやすく解説する。ポナンザは機械学習の導入以後、急速に強くなったという。ポナンザ AI の進歩の速さに、開発者自身さえ違和感を感じていると語る。
「人工知能は黒魔術化している」「機械学習の導入によって人工知能に知性すら感じるようになった」「今の人工知能は天才(との比較)からも失業する時代になった」「(アルファ碁が勝利したとき)科学が宗教になる瞬間を見た」「どこまで行ってもモヤモヤしたよく分からないものであることを受け入れるしかない。これが今の人工知能の研究者の実感」など強烈なコメントが続々登場し、読んでいて実に楽しい。組み込みと AI が急接近するなか、EIS 読者の方にお薦めの1冊である。
書籍情報
人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?~最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質~
山本一成、ダイヤモンド社、p.288、¥1620
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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