ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~

J.D.ヴァンス著、関根光宏・訳、山田文・訳、光文社

 「ラストベルト(錆ついた工業地帯)」と呼ばれるオハイオ州出身の弁護士の回想録。エレジー(哀歌)のタイトルがぴったりの内容である。貧困が代々伝わる伝統という自らの人生を振り返ることで、米国における白人労働者階級の状況を明らかにする。泡沫候補と思われたトランプが大統領になった背景が、頭でっかちではなく地に足の着いた回想によって理解できる。米国でベストセラーになった理由もよく分かる。多くの方に読んでもらいたい良書である。

 

 薬物中毒の母親、家庭内暴力と不健康、育児放棄、投獄、失業、離婚が日常で向上心と道徳のかけらもない生活環境など、白人労働者の家庭に生まれた筆者の人生は苛烈である。エスタブリッシュメントやマスコミへの根深い不信感、米国の福祉制度がヒリビリー向けに作られていない状況、米国社会における疎外感、政策では解決できない問題の数々など、根深い問題が本書には続々と登場する。

 

 ちなみに白人労働者階級は、「ヒルビリー(田舎者)」「レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)」「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」などと呼ばれるという。

書籍情報

ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~

J.D.ヴァンス著、関根光宏・訳、山田文・訳、光文社、¥1944

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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