中央銀行は持ちこたえられるか~忍び寄る「経済敗戦」の足音 ~

河村 小百合、集英社新書

 世界標準からかけ離れた日本銀行の金融政策に警鐘を鳴らした書。デフレ脱却を至上命題に掲げた、黒田東彦総裁の異次元金融緩和の内容と副作用を論じている。特に米国や欧州の中央銀行の金融緩和策を具体的に紹介しながら、異常で異様な日本の実態を明らかにする部分は説得力がある。日本の今を知ることができる好著である。ちなみの筆者は日本銀行出身で、現在は日本総合研究所 上席主任研究員を務める。


 よく知られているように、政府の債務残高は1200兆円に達し名目 GDP の250%に迫る。政府が発行する国債を実質的に日銀が買い上げる「財政ファイナンス」に陥っている。こうした金融政策の結果として、日銀の政策運営が制御不能となる可能性を指摘する。筆者は、預金封鎖や財産税に行く着く“恐怖のシナリオ”を描く。欧米の中央銀行が金融緩和からの出口戦略を具体的に明らかにしているのに対し、いっさい発言しない日銀の不誠実な態度にも疑問を呈する。同時に勉強不足と見識不足のマスメディアにも厳しい目を向ける。

書籍情報

中央銀行は持ちこたえられるか~忍び寄る「経済敗戦」の足音 ~

河村 小百合、集英社新書、p.256、¥821

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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