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横田英史の読書コーナー

〈ポスト・トゥルース〉アメリカの誕生~ウェブにハックされた大統領選~

池田純一、青土社

2017.5.4  9:45 am

 トランプ大統領を生んだ米国大統領選をリアルタイムで追った、WIRED.jpの連載を単行本化した書。後知恵ではあるが納得感のある考察を脚注の形で加えている。著者は、後から考えると見当違いだった論考も包み隠す明らかにし、既存の知性の判断がことごとく間違ったあの大統領選を臨場感を持って伝えている。結局、トランプが大統領選や政治、社会のルールを根底から変えことが勝利につながった。既存のルールでしか判断できなかった政治家・政党やマスメディアに勝ち目はなかった。とりわけ、マスメディアは見たいところしか見ない状態に陥ったと手厳しい。トランプ大統領誕生の舞台裏を知りたい方にお薦めの1冊である。

 ポイントは IT とソーシャルメディア(SNS)である。これらが、選挙戦における戦術はもとより戦略さえ越えて、戦場たるゲーム盤の在り方を変えたのが今回の大統領選というのが筆者の見方である。それにしてもオックスフォード英語辞典が2016年の言葉として「ポスト・トゥルース( post-truth)」を選んだり、明らかに虚偽であるものを「もう一つの事実(Alternative facts)」と言ったり、ほとんどメチャクチャである。

書籍情報

〈ポスト・トゥルース〉アメリカの誕生~ウェブにハックされた大統領選~

池田純一、青土社、 p.347、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。