「決め方」の経済学~「みんなの意見のまとめ方」を科学する~

坂井 豊貴、ダイヤモンド社

 多数決の弱点を論じるとともに、どのような決め方をするのが最も合理的で、みんなの意見を正しく反映できるのかを経済学的に観点から論じた書。決め方次第で、結果が変わる(多数決がまともに機能しない)事例で米国の大統領選を挙げているところは、トランプ当選に通じる指摘があり興味深い。込み入った内容を数学を使わず平易に解説する努力は見られるものの読みやすいとは言いづらい。集中力が途切れると付いていけなくなる。ちなみにトランプの話題(共和党氏名の段階だが)もきっちり入れているのは評価できる。

 

 本書が冒頭で取り上げるのは、共和党ブッシュ 対 民主党ゴアの大統領戦である。ゴア有利だった状況が、ラルフ・ネーダーの参戦で民主支持層の票が流れ形勢逆転が起こった。多数決だからこそ生まれたブッシュ当選が、その後のイラク侵攻やイスラム国の誕生につながった。多数決の選択肢の豊かさが、結果を歪ませてしまった結果、世界史を変えた訳だ。

 

 ちなみに「多数決はどうでもよいことを決めるのに適している」というのが筆者の見立てである。また選択肢が3つある場合、三択では「1位に3点、2位に2点、3位に1点」と配点して決めるボルダルールがみんなの意見を正しく反映できる。ブッシュ 対 ゴア の対決でもボルダルールならゴアが当選した。

書籍情報

「決め方」の経済学~「みんなの意見のまとめ方」を科学する~

坂井 豊貴、ダイヤモンド社 、p.224、¥1728

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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