それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子、新潮文庫

 以前、太平洋戦争に突入するまでを扱った「戦争まで~歴史を決めた交渉と日本の失敗~」をこの書評で取り上げたが、同じ著者の前作。本書では日清戦争から太平洋戦争までの四つの戦争において、日本人の行った選択について「なぜ」「どのように」を丹念に追っている。日本近現代史を専攻する東大教授が栄光学園の学生向けに2007年に行った授業を再録したもので読みやすい。多くの方にお薦めの1冊である。

 

 歴史を学ぶことの面白さや大切さ、単純に出来事を覚えるだけでは歴史を学んだことにならないと教えてくれる。史料に丹念にあたり過程を克明に明らかにすることで、学校で学んできた、夾雑物を取り除いた歴史とはまったく異なる風景が見せてくれる。数々の伏線が絡まって歴史が作られていることがよく分かる。歴史の登場人物をイキイキと描いているのもいい。

 

 筆者は前書きで本書を執筆する背景に、「国民の正当な要求を実現しうるシステムが機能不全に陥ると、国民に、本来見てはならない夢を擬似的に見せることで国民の支持を獲得しようとする政治勢力が現れないとも限らないとの危惧」と述べる。示唆的である。

書籍情報

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子、新潮文庫、p.497、¥810

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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