Electronics Information Service

組込みシステム技術者向け
オンライン・マガジン

MENU

横田英史の読書コーナー

本当はブラックな江戸時代

永井義男、辰巳出版

2017.1.1  10:00 am

 旬のモノを中心とした食文化、風呂好きで清潔な江戸っ子、進んだリサイクル社会、人情にあふれた長屋といったイメージで語られることのある江戸時代。筆者は、こうした俗説に「否」と史料に基いて答えている。肩のこらない読み物なので休日や出張の電車のなかで読むのに向く。

 例えば食文化では、食材は旬のモノしかなかったからだし、冷蔵技術のない時代に腐った魚が流通しており、水は安全ではなく飲むと下痢を覚悟しなければならない、といった具合である。このほか休日がほとんどない奉公事情、安全ではなかった江戸の町、汚く異臭漂う街だった江戸、識字率のまやかしといったトピックが並ぶ。

書籍情報

本当はブラックな江戸時代

永井義男、辰巳出版、p.240、¥1512

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。