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横田英史の読書コーナー

ロケット・ササキ~ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正~

大西康之、新潮社

2016.6.16  10:09 am

 シャープの副社長を務め、孫正義を見出し、スティーブ・ジョブズとの親交で知られる佐々木正の評伝。評者も個人事務所でお会いしたが、そのときのことが懐かしく思い出される。だだし本書を読んで、佐々木正という人物の全体像、人的ネットワークの凄さを知らずに取材したことが悔やまれる。筆者は日本の電機業界が熱かった時代を詳細に描いており、EISの読者の方々に強くお薦めしたい1冊である。

 驚くのは人的ネットワークの多彩さと、米国の企業幹部から尊敬を集めている点である。本書を読むと佐々木の凄さが伝わってくる。著者は、京都大学時代の佐々木、ドイツへの留学、川西機械製作所(後に神戸工業)への就職、敗戦、GHQの指示で米国留学、川西機械製作所での江崎玲於奈との関係、トランジスタ量産、早川電機への転身、カシオや立石電機との電卓戦争、半導体戦争など、佐々木の人生を丹念に追う。

書籍情報

ロケット・ササキ~ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正~

大西康之、新潮社、p.256、¥1620

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。