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横田英史の読書コーナー

シャープ崩壊~名門企業を壊したのは誰か~

日本経済新聞社、日本経済新聞出版社

2016.5.6  9:56 am

 過重な設備投資で経営が傾き、台湾の鴻海精密工業に買収されることになったシャープ。「亀山モデル」のブランドで一世を風靡したのは、今では昔のことである。本書では、こうした事態を招いた真相に日本経済新聞の記者が迫っている。結論を言えば、シャープの経営破綻の主因は人災というもの。幹部が内部抗争を繰り広げ経営を誤った。象徴的なのは、町田勝彦会長、片山幹雄社長、浜野稔重副社長がそれぞれに経営に口を挟む「キングギドラ経営」と呼ばれた状況だ。奥田社長を就任から1年で社長の座から引きずり下ろしたクーデターも生々しい。もちろん、堺工場をはじめとした液晶事業への巨額投資の失敗や、取引先への態度といった社風の問題点についても記者は詳らかにする。

 それにしてもシャープや三洋電機といった関西家電メーカーの経営破綻までの足跡は何ともうら悲しいものがある。過去をちゃんと押さえる意味でも、EISの読者の方にお薦めの1冊である。ただし出版時期の関係で、鴻海精密工業による買収の最終段階でのゴタゴタについては言及されていないので注意されたい。

書籍情報

シャープ崩壊~名門企業を壊したのは誰か~

日本経済新聞社、日本経済新聞出版社、p.256、¥1728

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。