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横田英史の読書コーナー

かたき討ち:復讐の作法

氏家幹人、草思社文庫

2014.2.5  12:00 am

 色物っぽいタイトルだが、豊富な史料に基づいた論考を中心としており、きわめて真面目な内容である。戦国期から江戸時代の人々がどういった形で恨みを晴らしたのか、武士の世界の慣行や法の在り方、江戸幕府が敵討ち管理のためにどういった制度を整えたのか、敵討ちの時代による変遷を明らかにする。知られざる近世の制度や法、習俗を知ることができ、知的好奇心を満足させてくれる。もともとは中公新書で出版されたが、草思社文庫として復刻した。ちょっと時間があるときの気晴らしに向く書である。
 本書は敵討ちを14の側面から紹介する。先妻による後妻の襲撃「うわなり打」、みずから腹を割き遺書で敵に切腹を迫る「さし腹」、敵の死刑執行人を願い出る「太刀取」、密通した妻と間男を殺害する「妻敵討」、男色の愛と絆の証「衆道敵討」などに、それぞれ1章を割いて説明を加える。将軍吉宗と中国人の敵討ちをめぐる問答、敵討ちの許可を書面に記す手続き「帳付」、見世物化する敵討ちの話も興味深い。

書籍情報

かたき討ち:復讐の作法
氏家幹人、草思社文庫、p.314、¥819

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。