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横田英史の読書コーナー

ジェフ・ベゾス~果てなき野望~

日経BP社、ブラッド・ストーン、井口耕二・訳

2014.1.24  12:00 am

 Amazon.comのアイデアがウォール・ストリートで生まれた1990年代から現在に至るまでを、創設者のジェフ・ベゾスの人生と意思決定を軸に描いたノンフィクション。アマゾンの成功と失敗、成長の歴史が克明に描かれている。「どんなものでも買える店(Everything Store:原書のタイトル)を作る」という野望の実現に向けて突き進むベゾスを活写しており面白く読める。500ページ超とそれなりに分量があるが、翻訳がこなれていることもあって、あっという間に読み終えることができる。
 フィナンシャル・タイムズ紙の選ぶビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2013を受賞したのもうなずける充実したビジネス書である。赤字を垂れ流しながらも高成長を続け、最近は新聞社事業や宇宙事業にまで乗り出すアマゾンの行動原理を知ることのできる1冊であり、多くの方にお薦めしたい。
 筆者はこのように述べる。「我々が目にしているのは、実は、アマゾンが自ら演出している神話だけ。プレスリリースや講演、取材対応などの原稿のうち、ベゾスが赤ペンで消さなかった部分だけなのだ」。まさに本書は、この知られざるアマゾンの実像を白日のもとに晒している。例えば、今ではすっかり身近になったサービス誕生の裏側で、どういったことが起こっていたかを克明に描き出す。過大とも思える物流システム、9ドル99セントの電子書籍、無料通信サービス付きのKindle、クラウド時代を切り開いたAWS(Amazon Web Services)などを巡るドタバタ劇は興味深い。ベゾスの先見性、意思決定の早さ、経営者としての冷酷さなど、アマゾン成功の秘訣を余すことなく描き出している。

書籍情報

ジェフ・ベゾス~果てなき野望~
日経BP社、ブラッド・ストーン、井口耕二・訳、p.504、¥1,890

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。