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横田英史の読書コーナー

経営センスの論理

楠木建、新潮新書

2013.9.12  12:00 am

 この書評でお薦めの経営書として取り上げた「ストーリーとしての競争戦略」の著者によるエッセイ。オンラインメディアに執筆した記事をベースに新書化したもの。「スキルだけでは経営はできない」「優れた会社にはセンスがある」といった経営の要諦を、独特の洒脱な語り口で論じる。エッセイなので雑音が多く含まれるが、その分だけ読みやすい書に仕上がっている。肩の力を抜き、オフの時間に読むのに向く書である。
 本書は、経営者・戦略・グローバル化・日本・よい会社・思考と六つの切り口から経営について持論を展開する。例えば経営者の章では、センスを磨くにはどうすればよいのか、センスが良い企業の特徴などについて、具体例を挙げながら説明を加える。筆者が力を入れているのが第2章「戦略の論理」だろう。イノベーションについての誤解、「できる」と「する」の違いなどについて多くのページを割いている。残念なのは、後半部に前半ほどの切れ味がみえないところ。筆の勢いが失速気味でワクワク感に乏しい。

書籍情報

経営センスの論理
楠木建、新潮新書、p.235、¥777

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。