ニュートンと贋金づくり~天才科学者が追った世紀の大犯罪~

トマス・レヴェンソン著、寺西のぶ子・訳、白揚社

 アイザック・ニュートンといえば古典力学。科学者としての突出した業績がすぐに頭に浮かぶ。そのニュートンの王立造幣局官僚としての知られざる姿を紹介したノンフィクション。ミステリー仕立てで、贋金づくりの主犯ウィリアム・チャロナーとニュートンとの虚々実々の駆け引きを、膨大な資料と調査に基づいて詳細に描いている。17世紀のロンドンを中心とした時代背景を含め、興味深い話が満載でわくわくしながら読める。まさに「事実は小説より奇なり」である。
 本書が扱うのは17世紀の英国を揺るがした贋金事件。粗悪な銀貨が流通し、英国の貨幣制度の信用は地に落ちた。この状況を打開することに手腕を発揮したのが、大学教授を経て王立造幣局監事に就いたニュートンだ。大学時代に錬金術に精力的に取り組んだニュートンも意外だが、行政に辣腕を振るう姿も想像しづらい。ニュートンがまず取り組んだのが粗悪な銀貨を駆逐するために改鋳。これが奏効し、瞬く間に悪貨を駆逐した。
 次が贋金づくりの主犯チャロナーとの闘いである。当局の必死の捜査を巧みにくぐり抜けていたチャロナーを追いつめていく過程は読み応え十分。いかにも科学者らしい綿密な戦略を実践し、包囲網を狭めていく。そして、ついにチャロナーを刑場に送る。この功績が認められニュートンは造幣局長官にまで登り詰め、その後27年間にわたってその地位にとどまり巨額の資産を築く。ニュートンの知られざる実像を本書は描いている。

書籍情報

ニュートンと贋金づくり~天才科学者が追った世紀の大犯罪~
トマス・レヴェンソン著、寺西のぶ子・訳、白揚社、p.336、¥2,625

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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