デジタルネイティブの時代~なぜメールをせずに「つぶやく」のか~

木村忠正、平凡社新書

 ブロードバンドの常時接続やモバイル・インターネットなどが当たり前の「デジタルネイティブ世代」の生態や、この世代の台頭に伴う社会的コミュニケーションの変容を文化人類学の手法を使って明らかにした書。メールやSNSの使い方、コミュニケーションの在り方など、彼ら・彼女らの流儀、悩みを著者が15年かけて収集した調査データを使いながら探り、日本社会の抱える問題点を浮き彫りにする。“目から鱗”というほどの驚きは感じないが、新書らしくコンパクトにまとまっている。出張のおりに気軽に読むのに向くだろう。
 筆者は1980年代前後以降に生まれた世代をデジタルネイティブと定義し、四つの世代に分けて分析する。第1世代は1982年以降でポケベルやPHSに触れ、第2世代は1983-1987年生まれでパケット代を気にしながらネットアクセスを体験し、第3世代は1988-1990年生まれでパケット定額に慣れ、第4世代は1991年以降に生まれブロードバンドの常時接続当たり前に経験している世代である。
 こう見ると、この30年でネットアクセスの環境が大きく変わったことがよく分かる。デジタルネイティブ世代は2010年時点で全人口の30%を占めており、確実に社会的なインパクトを与え始めている。彼ら・彼女らには四つの特徴があると筆者は論じる。一つは空気を読むことを強いる圧力。二つ目は親密さを伴わないテンション共有。第3はコミュニティ、ソーシャルとは異なるコネクションという社会原理の拡大。ちなみに著者はミクシィはコミュニティ、フェイスブックをソサエティ、ツイッターをコネクションに分類する。第4がサイバースペースに対する不信感と強い不確実性回避傾向。これらに現代社会の生態と問題点を筆者は見出し、丹念に論考を加えている。

書籍情報

デジタルネイティブの時代~なぜメールをせずに「つぶやく」のか~
木村忠正、平凡社新書、p.256、¥800

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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