特別編: 『組込み 秋・冬レポート』 2004-2005

毎度、渡辺のぼるです。
私のライフワークである『組込みスキル標準』(以下、ETSS)は、5/23にプレスリリースされました(パチパチ)。IPA/SECのWebにドキュメントが掲載されていますので、是非ともDownloadしてお読みください。
とりあえず、外はポカポカ陽気になっていますが、遅ればせながら昨年度の下期報告として、私が関与したイベントを中心に『組込み 秋・冬レポート 2004-2005』をお届け。

2004年9月

なんと、IPA(情報処理推進機構)SEC(ソフトウェア・エンジニアリング・センター)準備室に出向。研究員という立場になりましたが、柄じゃないのでムズ痒い感じがします。
出向させてくれた沖通信システムと、受け入れてくれたIPAに感謝感謝。自分のため、会社のため、業界のため、世の中のため、がんばりますよぉ〜!!

9/10には『IPAX Autumn』というIPA主催イベントが東京国際フォーラムで開催。門田さん、田丸さんによる組込み系のプレゼンもありましたが、小さな会議室でワークショップも開催しました。組込みプロジェクトとしては、エンジニアリングとスキルの各領域で、IT系(特にエンタプライズ)との違いや、ITスキル標準との違いを公開討論。講演会というほとんど一方通行の普及啓蒙でなく、参加者が議論するスタイルはいい感じ。けど、対応する側には、かなりのディベートスキルがないと駄目ですね。今回は大原先生など百戦錬磨の方が仕切りましたが、まだまだ私1人では切り盛りできないなぁと痛感。

2004年10月

SECは10/1が正式オープンの日。新たな研究員も増え、正式に発足しGo!!
10/14,15には情報処理学会系シンポジウムの『組込みソフトウェアシンポジウム』が開催されました。打合せなどがあり参加できませんでしたが、前日に行われた『MDDロボットチャレンジ』(飛行船ロボコン)の準備を覗いてきました。学生さんと社会人が入り乱れ、ギリギリまでチューニング(一部は開発?)。皆さんの活気あふれる雰囲気に圧倒されつつ、このような体感型教育機会の重要性を実感。ちなみに今年もやります

2004年11月

11/15には『SEC設立記念講演会』が開催され、エンタプライズや組込みのソフトウェア開発に関係する方々が集まりました。ある意味、怖くなる雰囲気というか、SECがここまで期待されていることを痛感。

11/16からは組込み系の大きな展示会である『ET2004』が横浜パシフィコで開催されました。なんというか、すごい人。初日から最終日まで多くの人が来場されていました。SECはブースを出展し、個人向けの産業統計調査を実施。赤いベスト(内外ともに不評)を着込んで接客していましたが、これが熱い・熱い。汗だくになってしまう素材であって、もう二度と着用しないことを決意。

ET2004の2日目は、恒例のETフェスタ(展示会場でビールが飲める)を楽しみ、その後は渡辺幹事の『組込みコミュニティ交流会』へと。今回の交流会は、パシフィコ近くのレストランを借り切って開催となりました。90人ちょっとで予約したら、当日の飛び入り参加も増え、なんと110人くらいの参加者となりました。
「日本の電子業界を元気にする会」企画のお楽しみタイムとしてジャンケン大会などで大盛り上がり。食事が足らない状況を反省しつつ、次回は6月末のESECでも開催予定。ご興味がある方で連絡を受けていない方は私までご連絡ください。まぁ、組込み開発において、エンジニアリングがいくら進化・発展しようが、肝は人であり、社内外の人脈も助けてくれることがあります。企業の枠を超えたつながりは、何にも変えがたい資産と感じる今日この頃。

2004年12月

12/2に日科技連主催の『第23回ソフトウェア生産における品質管理シンポジウム』で論文発表してきました。SS2004岡山での論文発表に続きまだ2回目ですが、ダメダメ状態。緊張しまくって、何を喋っているかわからなくなるパニック状態。次回こそは、自信をもって発表できる論文執筆とプレゼンテクニックを!!と思いつつも、組込みスキル標準は実証してデータが揃わないと論文化することはできないと思う今日この頃。
さて年末。委員会活動と忘年会で、師走の雰囲気を加速させてくれました。あっという間に年末年始の休暇に。

2005年1月

1/4が初仕事。なんとも短い年末年始ですが、宿題を多く抱える身にとって影響は少なく、ちょっと感謝。1/17はSESSAME主催『OpenSESSAME Workshop』が開催され、組込みスキル標準のプレゼンと、パネルディスカッションで登壇しました。SESSAME関係のパネルディスカッションは鬼門で、これまでに上手く行った実績がなかったのです。しかし今回は何事も無く終わったと個人的には思っています。

 

ホームセンターでSESSAME電機の作業着を選んでいる様子(撮影:妻)


1/24はソフトウェアテストシンポジウム実行委員会主催の『JaSST'05』に参加。『クイズテストエンジニア100人に聞きました』というオモシロ企画に参加。昔懐かしのあの番組をほぼ完コピ。私はSESSAME電機チームのリーダとして出場。なぁなぁなんとエンタプライズ系のチームに惜敗。旅行券もGETできず、さらには鬼門の"アーキテクチャ"という用語にやられるなんて。
来年のJaSST’06ではリベンジだ!!

2005年2月

2/22は『ETロボコン説明会』を開催。ETロボコンは昨年までUMLロボコンとして開催されていたコンテストであり、今年からはモデルをUMLに限定せずに発展的に開催することに。私は今年からETロボコンの副実行委員長をやることに。教育目的のロボコンなので、組込みスキル標準策定を進める者として積極的に協力・支援する意気込みっす。


ETロボコンは、LEGOで作った自律ライントレースカーをソフトウェアで制御し、ソフトウェアモデルの良さとタイムトライアルで競うもの。出場チームは、全て同じハードウェアを使ってコンテストします。カーレースでは同じ車種でドライバーの技能で競争するワンメイクレースがありますが、それの組込みソフトウェア版といえるかも。

ETロボコン選手権は、ESEC終了後の週末、7/2,3に開催予定。フジテレビの『踊る大捜査線』で湾岸署として使われている内田洋行潮見ビルをお借りして開催します。休日のイベントですので、散歩ついでに見学に来られてはどうでしょうか?
ちなみにこのETロボコンですが、7月の優秀チームは11月に『ET2005』で開催される『ETロボコン・チャンピオンシップ』に出場するのです。

2/25は、日科技連主催の『SPCミニセミナ』でプレゼン。私の所属する沖通信システムの人材開発部門の方とコラボプレゼンを実施。沖通信システムにおけるスキル標準の取り組み報告と、私がETSSの話を報告。参加者は10数名と少人数の会議スタイルであり、ビッチリと1時間ディスカッション。やっぱり双方向のやり取りって得るものが多い。

2005年3月

3/2は『情報処理学会 全国大会』。なんとパネラとして登壇。1月のWorkshopもそうですが、他のパネラは大御所ばかりで、いつも私が落ちに使われるわけで。まぁ現場の現状を生々しく語るのが私のミッションだったりするわけで。
年度末ということで、ETSSの凍結や報告書の作成などパニック状態。生活を朝方に切り替え、遅寝早起きを実施。日に日に日の出が早くなるのを実感しつつ、早朝の街を颯爽と会社へ向かう。朝5時にMLにレスをすると「早く寝たら!?」と言われてしまったりして。早朝出勤はお勧めです。電車も空いているし、職場での割り込みもなく仕事がはかどります。

ということで、秋・冬レポートを4月から少し少し書いていたら、気がつけば5月になっていました。ごめんなさい。

 

ETSSは「組込みスキル標準 2005年版」として、SESSAMEスキル標準から発展した『スキル基準』はVersion1.0として公開。ITスキル標準に相当する『キャリア基準』と『教育カリキュラム』はDraftとして公開します。ドキュメントは、IPA/SECのWebからDownload可能です。是非とも一読していただき、ご利用やご意見をしていただければ嬉しいです。また、補足説明としては『ETSS概説書』を作成しました。\300となっていますが、IPA/SECのWebからもPDF版がDownload可能(となる予定)です。しかし、カラープリンタで印刷するよりも\300の方が綺麗で安いので。(^^;

さらには、日経エレクトロニクス誌、日経ITプロフェッショナル誌、DesignWave誌に寄稿が掲載される予定です。日経エレクトロニクスは、5/23号と6/6号に掲載予定。日経ITプロフェッショナルは、6/1号に掲載予定。DesignWaveは7月号(6/10発売)に掲載予定です。

昨年度のSEC成果を報告する『SECフォーラム』も6/21と近づいてきました。また組込み業界、年2回のお祭りで初夏のお祭りである『ESEC』も6/29,30,7/1に控えています。ESECでは大規模宴会である『組込みコミュニティ交流会』をESEC中日の6/30夜に開催します。うむぅ〜忙しい。
これらのイベントに向けて、体力を蓄えておきたいのですが、そうもいかず、忙しい毎日。
また、春から夏のレポートは、早ければ10月。遅ければいつになるか・・・・ 期待しないでお待ち頂ければと思います。

それでは、2005年度も皆さんのご活躍を期待しております。"kumikomi"を国際語となるような業界全体の活性化を夢見ながら、がんばりましょう!! ねっ皆さん!!

バックナンバー

>> 第1回 2004年は"組込み元年"。皆さん一緒に盛り上がりましょう!!

>> 第2回 文献ポインタ集に魅せられて

>> 第3回 未踏ソフトウェア創造事業とベンチャー育成と。

>> 第4回 テストでワクワク。陽気で前向きなテスト屋

>> 特別編 渡辺のぼるの夏日記 2004.

>> 第5回 仙人、SESSAMEセミナーの地方巡業を語る。

>> 第6回 セミナのプロマネって大変?


渡辺 登

1986年、沖通信システム(株)に入社。加入者線装置,中継/伝送装置,PHS,携帯電話機などの組込みソフトウェア開発に従事。
リックテレコム社の情報処理(ネットワーク)試験対策本解説執筆や社内講師なども手掛ける。
SESSAMEでは、組込みソフトのスキル標準作成に関する草案作成とモデレータを担当。この流れから、経済産業省の"組込みソフトウェア開発力強化推進委員会準備会"に参画。
自称:組込みソフト・スキル標準エバンジェリスト。
特技はサッカー。しかし、プレー中に左膝前十字靭帯の切断により現役生活に幕を降ろしている。
メールアドレス:noboru2000gt@yahoo.co.jp