ロシアを本拠地とするアンチウィルス、セキュリティ・ソフトウェアのカスペルスキーラブズ社の日本法人、(株)カスペルスキー社が都内で新製品、「カスペルスキー2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」の発表会を行った。
冒頭、挨拶に立った日本法人の川合 林太郎社長(写真左)は、最近、ディジタル・ライフの進化と共にユーザーが利用するプラットフォームが多様化しているが、これに伴ってAndroidやiPhone OS、Mac OSでのマルウェア感染が急速に拡大している現状を説明した。特にモバイルOSでの増加が顕著で検体数がここ半年で6倍にも増加し、その90%がAndroid OSが対象であったとのことであった。
そこで同社は、これまでWindows PC用、Mac用、モバイル用とデバイスごとにライセンスを提供するシステムから、一個人に複数のプラットフォームで使用できる「プライベート版」ライセンスを提供する「カスペルスキー2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」 を10月11日から発売する。
シングル・ライセンスで、Windows8、Mac OS、Android 4.0に対応
新製品「カスペルスキー2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」には
・カスペルスキー インターネット セキュリティ
・カスペルスキー セキュリティ for Mac
・カスペルスキー モバイル セキュリティ (Android スマートフォン版)
・カスペルスキー タブレット セキュリティ(Android タブレット版)
の4種類のアプリケーションが含まれる。
ユーザーは1ライセンスで個人が保有するすべてのデバイスで1年または3年間、上記のセキュリティ・ソフトウェアを使用することができる。
また、1年または3年間で3台のデバイスまで使用できるライセンス形態も提供される。
ネット決済の安全性などを強化したカスペルスキー インターネット セキュリティ
「カスペルスキー インターネット セキュリティ」の新バージョンでは、特にネット決済の保護機能を強化したとのこと。不正サイトへの誘導をブロックする機能、証明書の正当性の確認機能、ネットバンキングデータの盗難防止機能に加えて、キーロガーによる盗み見から守る、ソフトウェアキーボードを使用した入力情報漏えい防止機能を新たに付加した。
同社によれば、ネット決済保護機能に関するベンチマーク・テストでカスペルスキー製品は他社製品と比較して圧倒的に高いスコアを出したと発表した。
このソフトウェアでは、不正なサイトの検知機能をさらに強化しており、独自のヒューリスティック分析機能により未知のフィッシング・サイトにも対応できるとのこと。
「カスペルスキー インターネット セキュリティ」の新バージョンはWindows 8もサポートする。
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カスペルスキー インターネット セキュリティのトップメニュー画面
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Mac OS、Android OSの最新版に対応
カスペルスキー インターネット セキュリティは、Mac OSの最新版にも対応している。「カスペルスキー セキュリティ for Mac」は、従来の「カスペルスキー アンチウィルス 2011 for Mac」をグレードアップしたもので、フィッシングや悪意あるWebサイトからの保護機能、保護者による管理機能に加えて、セキュリティ・キーボード機能によって個人情報の漏えい防止機能も備えており、Apple社の最新OS X Mountain Lion(10.8)にも対応している。
また、「カスペルスキー モバイル セキュリティ」、および「カスペルスキー タブレット セキュリティ」の双方はAndroid 4.0に対応しており、スマートフォン用の製品はヒューリスティック検知機能が、タブレット用の製品では、Web管理メニューがサポートされる。
今後、スマートフォンやタブレット端末以外の分野でも、インターネットに接続されるAndroidベースの組込み機器にもこのソフトウェアは活用されることが多くなるかもしれない。
マルチプラットフォーム・ユーザーには魅力的なライセンス価格
「カスペルスキー2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」の個人向けプライベート・ライセンスの価格はパッケージ版の1年間で7,140円(税込み、以下同様)、3年間で11,340円。ダウンロード版の個人向けプライベート・ライセンスの価格は、1年間で5,980円、3年間で9,800円となっており、Windows PC、Mac、Android端末と複数のプラットフォーム環境を利用しているユーザーにとっては非常に魅力的な価格体系となっている。
日本市場でのシェアを20%以上にまで拡大することを狙い、キャンペーンも実施
カスペルスキー社の川合社長の説明によれば、同社の日本市場でのシェアは昨年まで数パーセントに留まっていたが、直近のある調査ではこれが14.5%まで増加したとのこと。
川合社長は、今回の新製品の発表でこれを20-30%のシェアまで伸ばしたいと語った。同社はこの新製品の拡販にあたって9月12日から10万円が10人に当たる総額100万円モニターキャンペーンを実施すると発表した。これは、「カスペルスキー2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」に含まれるWindows対応の「カスペルスキー インターネットセキュリティ」の無償評価版を発売前に30日間体験使用してアンケートに答える形で実施され、アンケート回答者の中から抽選で10名に10万円がプレゼントされる。
記者会見には、この製品のキャンペーンに参加するマスコット・キャラクター、グリーン・ベアも登場した。何故、グリーン・ベアかと言えば、ロシアを象徴する動物の熊に安全や進めを表し、同社のコーポレート・カラーでもある、グリーンを組み合わせたもののようだ。
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グリーン・ベアくん |
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報道陣からの質問に答える幹部 |
PCユーザー向けの媒体でもない当方がこの記者発表に参加した理由は、最近、「M2M」、「Device to Cloud」、「IT―組込み統合アプリケーション」などの言葉で代表されるように、多くの組込み機器がネットワーク、インターネットに接続されるようになり、組込み機器におけるセキュリティ対策が注目されるようになってきたからである。もう一つの大きな理由は、最近まで日本の組込み業界でWindows CEの普及やコミュニティ活動で活躍された前マイクロソフトの松岡正人氏が、この夏にカスペルスキー社へ移籍したからでもあった。松岡氏はカスペルスキー社マーケティング本部プロダクトマーケティング・マネージャーに就任してこの記者会見にも登場していた(右上の写真の右端)。同氏の新転地での活躍にも大いに期待したい。
この製品の詳細については同社の下記発表資料を参照
http://www.kaspersky.co.jp/news?id=207585663
取材 EIS編集部 中村正規
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