記者会見 NO-17
サイプレスが、ARM Cortexコアを内蔵したタッチ・スクリーン・コントローラの新製品を発表。
耐ノイズ性能、消費電力などを大幅に改善。

サイプレス・セミコンダクタ社が都内で記者会見を行い、同社の投影型静電容量式タッチ・スクリーン・コントローラ、TrueTouch(R) の第4世代、Gen4ファミリ(製品名:CY8CTMA4xxシリーズ)を発表した。記者発表を行ったのは、同社のTrueTouch Product Marketing ManagerのYi Hang Wang(王一杭)氏。(写真)

今回発表された新製品は、ARM社の32bit MCU、Cortexコアを内蔵しており、従来の製品に比較してタッチ検出機能、信号対雑音比(SNR)、消費電力を大幅に改善した。サポートされるスクリーン・サイズは1.5〜12.6インチで、On-Cell、In-Cellの双方の構造に対応し、単層マルチタッチ、2層のPETサブストレート、1.5層のガラス・サブストレートなど複数のスタック構造に使用できる。また、自己容量、相互容量の双方の検出方式をサポートする。

ARM Cortexコアを内蔵
同社は記者発表会で、内蔵しているコアがARM Cortexファミリの中のどのアーキテクチャかについては明らかにしなかったが、同社の説明資料の中に内蔵DSP内蔵によるノイズ除去機能の一文があったことから、このコアはCortex-M4ではないかと推測される。サイプレス社はCortexコア内蔵のタッチ・スクリーン・コントローラを実現したことにより、最高400Hzまでの更新レートや耐ノイズ特性を含む最高の性能を最小の消費電力で実現できたと、説明した。

SNR、耐ノイズ特性を大幅に改善
Gen4と呼ばれる今回の新製品では、電極駆動電圧(Tx)を最高10Vまで高めたことにより、SNRを競合ベンダに比較し約4倍まで改善できると、同社は説明した。このTx電圧はユーザ・プログラマブルに設定できる。また、同社独自のディスプレイ・ノイズ除去技術、Display Armor(TM) により、LCD側にシールド層やエアギャップを設けることなくディスプレイ上のノイズを除去できる。また、充電器などから発生するノイズに対しても同社が開発したCharge Armor(TM) と呼ばれる技術で最大95Vppまでのノイズ耐性を発揮できるという。

400Hzのリフレッシュ・レート。1KHzのスキャン・レート
この新製品ファミリは、400Hzという業界最速の更新レート、1kHzのスキャン・レートを実現する。同社は、これらのレートはいずれも業界最高の数値であると説明した。このレベルの性能が実現可能になったのは、心臓部にDSPを内蔵した32ビットARM Cortexコアを採用したことと、新しい高速アナログ回路を採用したことによるもので、これによって無制限のタッチポイント能力、0.2mmの精度およびリニアリティを実現する。

さらに低消費電力化を達成
Gen4ファミリでは、60Hz、2フィンガーの動作条件でのアクティブ消費電力が2mWまで抑えられる。さらにCOMポートからアドレスマッチングによってウェイクアップさせる、ディープスリープモードでは、1.8μWの消費電力を可能にする。サイプレス社によれば、さらなる低消費電力化が実現されたのは、エネルギー効率がもっとも高いARMコア・プロセッサを採用したためで、これらの新製品では消費電力が競合製品に比較して約50%も低減されると説明した。

対応OSとデザイン・ツール
ARMコアを内蔵したGen4ファミリには、マイクロソフト社のWindows Phone7とWindows8、およびAndroidの各OSが使用可能になる。同社は今後、さらにサポートするOSの種類を増やすことを計画している。また、設計にはTrueTouchホスト・エミュレータ(下図)が使用可能であり、システムの最適化には専用のツール機能が提供されるため、ユーザーはパラメータの設定を行うだけでARMコアを動作させるための追加ソフトウェア作成はほとんど必要ないとのこと。

製品ファミリとパッケージ
サイプレスのTrueTouch、Gen4ファミリは、下記の4種類のデバイスで構成される予定になっており、最小パッケージ品は3.8 x 3.8mmのWLCPとなる。いずれもサンプル品は本年9月末、量産品は2012年の第一四半期に入手可能になる予定。価格については未定だが、現行の第三世代品よりは高くなる模様。

Gen4の製品ファミリ

2011年9月 EIS編集部

 

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