記者会見 NO-10
日本テレロジック(株)、変更管理ツール「Change」および、
構成管理ツール「Synergy」の最新バージョン発表記者会見

UMLベースのモデリング・ツール、構成管理、要件管理・変更管理ツールなどで知られるテレロジック社の日本法人、日本テレロジック(株)が都内で記者会見を開き、同社の構成管理ツール「Synergy」と変更管理ツール「Change」の最新バージョンを発表した。

日本法人の新社長に就任した大阪稔氏

挨拶する大坂新社長

製品発表に先立って、今年6月に日本テレロジック(株)新しい社長に就任したばかりの大坂稔氏が登壇して挨拶した。大坂社長は日立ソフトウェアエンジニアリング、日本DEC、ボーランド、日本エクセロン(現、ソニックソフトウェア)などでデータベース管理などを含むエンタープライズ系ソフトウェアで豊富な経験を有する。
大坂社長就任に関するプレスリリースを参照
大坂社長は、テレロジック社が単にソフトウェア開発に利用できる個別ツールを提供するだけでなく、Enterprise Lifecycle Management(ELM)というコンセプトを通じて、ビジネス・プロセスの最適化(BPO)から、アプリケーション・ライフ・サイクル(ALM)の自動化、そしてモデル駆動開発(MDD)までの総合的なソリューションをトータルに提供することによって、各ユーザーの最良のパートナーとなることを目指していると説明していた。テレロジック社が提供するソリューションは、同社の日本語のホームページでも詳しく紹介されている。

変更管理ツールの新バージョン、Telelogic Change 4.7

タバソリ 副社長

新バージョンのソフトウェアについては、スエーデン本社の変更管理・構成管理製品部門のプロダクト・マーケティング担当副社長、ドミニク・タバソリ氏が説明した。
今回発表された新バージョンのソフトウェア・ツールのひとつが、変更管理ツール、Telelogic Change 4.7である。この新バージョンのソフトウェアでは、従来の変更管理ツールの機能に加えて、新たにPhilips Applied Technologies社と共同で開発した、不具合のトラッキング、変更要求、作業フローなどを企業レベルでトータルに管理でき、拡張性にも富んだ「Enterprise Change Process」(ECP)機能を付加した。
また、ユーザビリティを大幅に改善、強化し、CMMIなどのプロセス・ガイドラインへの準拠、ISO9000を含む品質管理基準へのサポートも実現した。
Telelogic Change 4.7は、すでにPhilips Applied Technologiesを含む12の事業所で運用されており、900名以上のユーザーが使用しているとのこと。

構成管理ツールの新バージョン、Telelogic Synergy 6.5a

今回発表されたもうひとつの新しいバージョンの製品が、構成管理ツール、Telelogic Synergy 6.5aである。このSynergy 6.5aでは、日本語や中国語などのアジア圏の言語がサポートされ、要件管理ツールの「Doors」、製品ポートフォリオ管理ツール「Focal Point」などとのアジア圏言語での統合化が実現された。また、この新バージョンではユーザビリティが大幅に改善・強化され、アジャイル開発プロセスへのサポートも拡充された。

Change 4.7およびSynergy 6.5aのプレスリースの全文は、こちらから、アクセスできる。

企業買収で製品ラインを拡充してきたテレロジックと、IBMによる買収発表

テレロジック社はスエーデン・テレコムの1部門から独立発展した企業であり、同社の製品ラインは企業買収によって拡充されてきたといって良い(参照:EIS 記者会見 NO-6)。
同社は2000年に構成管理ツールおよび変更管理ツールのContinuus社と要件管理ツールのQSS社を買収し、2005年にはビジネス・モデリング・ツールのPopkin Software社と要求開発サポート・ツールのFocal Point社を買収している。
また、昨年、システム・レベルのモデリング/シミュレーション・ツールの主要プレイヤーだった、iLogix社を買収して業界関係者を驚かせたことは、まだ記憶に新しい。
ところが、さらに我々を驚かせたのが、今年6月、コンピュータ業界の巨人、IBMがテレロジックを買収すると発表したことであった(参照:6月12日 Press Release)。
今回の記者会見でも、このIBMによる買収に関する質問が飛んだが、この件については、米国証券委員会(SEC)からの承認、IBM社によるTOBが完了しておらず、Telelogic側からは一切のコメントを差し控えるとのことであった。
IBMによる買収が実現した場合でも、日本におけるTelelogic製品の販売、サポート体制が急に変化することは考えにくいが、既存のユーザーにとって、このニュースは大いに気になるところであろう。携帯電話に代表されるように、最先端の組込みシステムに搭載されるソフトウェアの規模は指数関数的に増大しており、Telelogic社が提供するモデリング・ツールや、変更管理・要求管理ツールなどが、ますます効果を発揮することが予想されるだけに、買収成立後にIBMグループ内における同社の位置付けがどうなるのかが、大いに注目される。

レポータ:EIS 編集部 中村



 

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