記者会見 NO-7
Lattice Semiconductor社 MachXO発表記者会見


Lattice社がispXPファミリを補完する低価格のFPGA製品、MachXOを発表
リポータ:EIS編集部 中村

プログラマブル・ロジックのサプライヤ、Lattice Semiconductor社が都内で新製品、MachXOの発表記者会見を行った。

MachXOの位置づけ

今回発表された新製品、MachXOは、その集積度において同社のCPLD、MACHシリーズとFPGAのispXPシリーズの中間に位置する。MACHシリーズとispXPシリーズのギャップを埋める製品ファミリということで、「Mach クロスオーバー 」を意味するMachXOという名前がつけられたようだが、内部構造はXPシリーズと同じ4入力ルックアップテーブル(LUT)をベースにしたSRAM FPGAである。また、ispXPと同様にコンフィギュレーション用のFLASHメモリを同一チップ上に内蔵しており、実質的にはispXPファミリのlow-end品と理解したほうが良さそうだ。

製品ファミリ

このMachXOファミリは、LUT数で256、640、1200、2280の4種類のデバイスで構成される。上位の2デバイスの内部には、9KBのブロックRAMとPLLが組み込まれる。
この製品ファミリを構成するデバイスは下記の表の通りである。

製品の特長

この製品ファミリはispXPと同様にJTAGポートを通じて内蔵のコンフィギュレーション用FLASHメモリのデータを書き換えることによって、リアルタイムに近いリコンフィギュレーションが実現できる(TransFRテクノロジーと呼ばれる)。
Lattice社は、これらデバイスの特長として、ピン間の遅延がCPLDと同様に高速で最大値の保証が可能であることと、ロジック対IO数の比率がCPLD並みに高いこと、また非常に低価格である点を強調していた。もっとも低集積のLCMXO 256の25万個購入時の単価としては、1ドル50セントが予定されている。この価格を聞く限り、FPGAの低価格化はさらに進み、低集積ASICの市場がFPGAによって侵食されていくことは間違いないようだ。このデバイスの製造には、当面、富士通の130nmが使用される模様だが、今後は他のFPGA製品と同様に90nmプロセスへの移行も計画されている。

量産スケージュールと設計ツール

同社によれば、256個と640個のLUTを内蔵するLCMXO 256とLCMXO 640の双方はすでにサンプル品の入手が可能になっており、量産は今年後半から開始される。一方、1200個および2,280個のLUTを内蔵するハイエンド品のLCMXO 1200とLCMXO 2280のサンプル品は今年後半に入手可能になる予定であり、量産開始は今年末から来年初めになる予定だ。

MachXOのデザインは同社の開発ツール、ispLEVER 5.0 SP1でサポートされる。サード・パーティのツールとしては、SynplicityのSynplifyとMentor GraphicsのPrecision RTLの合成ツール、Mentor Graphicsのシミュレータ、ModelSimが対応する予定である。
また、写真のような評価ボードも近く提供される予定だ。

 

LATTICE社のCEOは?

 

Lattice Semiconductorといえば、最近気になるニュースがひとつあった。それは、これまで長い間、同社を率いてきたCEO(最高経営責任者)兼会長の、Cyrus Y. Tsui氏が株主訴訟などから生じた内部調査によって、6月半ばに同社のCFO(最高財務責任者)と共に「paid leave of absence」という、事実上の退任状態なっていることだ。(詳細はこちら)
古くからPLD業界を知る人にとって、Lattice Semiconductorといえば、創業者のRahul Sud氏(現在はSTマイクロ社の副社長)とCyrus Tsui氏の顔が目に浮かぶ。特に、旧Monolithic Memories Inc.(MMI)社出身で、Lattice社のCEOに就任してからこれまでAgre Systems(旧AT&T)のFPGA製品部門やAMDから分社したVantis社の買収を相次いで決断してきたTsui氏はLattice社を代表する顔であり、PLD/FPGA業界でも数少ない著名なリーダーでもあった。このTsui氏の後任には暫定の代理CEOとしてStephen A. Skaggs氏が就任しているが、果たして今後、Tsui氏の最終的な処遇はどうなるのか、そしてLattice社の新しい正式なCEOは誰になるのか、新しいCEOの下で経営戦略や製品開発戦略がどう変わるのか、大いに気になるところだ。Lattice社が最近相次いで発表した新製品の動向と併せて同社の経営陣の体制にも注目しておきたい。

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