2013年11月20日 組込み開発新時代

第5回 データテクノロジー株式会社

取締役開発部長 阿部守さん

─まずは、ETアワードの受賞おめでとうございます。受賞された、「遠隔監視制御システム「みまわり伝書鳩」&センサーユニット:SenSu(センス)シリーズ」の概要、特長を教えてください。

 

有難うございます。今回の受賞を非常に光栄に、また大変嬉しく思っております。今回、ETアワードを受賞したのは、当社が以前から提供しているM2M用の各種のセンサー、通信、カメラ、および電源の各ユニット(SenSuシリーズ)を組み合わせ、3Gの携帯電話網およびインターネット回線を介してサーバーと接続することにより、農園や山林などの遠隔監視および制御を可能にし、運用や管理までをトータルにサポートしたオール・イン・ワンのソリューションです。

 

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これまで、この種のシステムでは、複数のサプライヤから提供されるセンサー、通信の各モジュールを使用することで生じる不具合への対応、運用を開始するまでの通信キャリアへの煩雑な申請手続き、使用するスマートフォン上で動作させる専用アプリの開発、サーバー側での管理システムの開発などが必要でした。当社の「みまわり伝書鳩」のソリューションは、これらをワン・ストップでシステム全体を提供するものであり、しかも他社に比較して約1/10という圧倒的な低価格で提供できるのが大きな特長です。
公衆回線通信に、MVNO方式を用いた、プロトコル・フリーの、NTTコミュニケーション製「Master’s ONE セキュア・リモート・アクセスサービス」を採用しているのも特長の一つです。詳しくは、当社のwebサイト、http://www.datec.co.jp/solution/mimawari_densho.html を参照してください。
ET2013では、勿論、このシステムの展示、デモを行い、詳細の説明を行いますので、ぜひ当社のブースにお立ち寄り頂きたいと思います。

 

─このシステムで検出、収集できるデータとしてはどのような範囲がカバーされていますか?

 

当社のセンサーユニットは、温度、湿度、風向、風速、雨量、照度、紫外線指数などのデータを対象にした簡易気象観測用のタイプです。このセンサーユニットには、複数の通信ユニット、ソーラーパネルとバッテリーを組み合わせた当社の電源ユニットが使用できます。さらに、当社が提供しているカメラ・ユニットと画像データ転送用の通信ユニットを採用することによって、遠隔地の様子を画像データとして取り込み、伝送、蓄積することもできます。

 

─「SenSu」や「みまわり伝書鳩」のように貴社の製品にはユニークな名前が付けられていますが、これらはどのように決められたのでしょうか?

 

いずれも外部のコピーライターなどに依頼して採用したものではなく、社内のスタッフから出た案の中から決めました。「SenSu」は、「取り込めるデータの種類に扇子のように柔軟に対応できる」ことをイメージして付けたブランド名です。「みまわり伝書鳩」については、「インテリジェント農園監視・管理システム」のような一般的、また常識的な名前ではインパクトがないということから、広域の遠隔地を監視することができ、しかも伝書鳩が巣に戻ってくるように、「監視場所から取得されたデータが次の制御情報になって必ず戻って来るシステム」ということをイメージしたものです。

 

─今後、このシステムではどのような拡張機能が提供されますか? 今後の開発計画を教えてください。

 

現在、当社ではさらに幅広い範囲のデータが収集可能になる新たなセンサーユニットを開発する計画であり、またデータ収集後の通信機能についても、さらに幅広い通信キャリア、有線・無線の業界標準規格に対応させる計画があり、その準備と開発を進めております。

 

─システム機能の拡張、高度化については外部のパートナー企業との連携も必要と思われますが、貴社は特にどのようなパートナー企業を求めていますか?

 

最終的なシステムについては当社が全面的に責任を持って対応しますが、ご指摘のように新たな機能の拡張には外部のパートナー企業との密接な連携、協力も重要になると考えています。現在、当社ではフロント・エンドとなる各種のセンサー、アナログ回路にさらに高い技術力、豊富な知識と経験を有するパートナー企業を求めているところです。

 

─主要事業として組込み用の各種ミドルウェアを提供してきた貴社が、農業を新たなターゲット・アプリケーションとして捕えて開発を開始したのは他社よりも早く、「スマートアグリ」という言葉が定着するかなり前からだったという印象があるのですが、この分野に他社に先駆けて踏み出したキッカケは何だったのでしょうか?

 

当社の中核事業は現在もCente(セント)というブランド名で知られている、μITRON対応のファイル・システム、USBスタック、各種通信プロトコルなどのミドルウェア製品群とこれらを動作させるのに適したハードウェア製品群、およびミドルウェア統合開発スイートです。しかしながら、顧客の生産開発拠点の海外移転、製品ライフサイクルおよび開発期間の短縮化要求、高度なスキルを有する技術者の不足、複数の業界にまたがるような大規模で複雑なシステムの開発要求が近年強まってきたため、従来のミドルウェアのパッケージ製品の販売だけではなく、これら自社のミドルウェア製品やハードウェア技術を活用して最終のアプリケーション・システムまでをトータルに提供する必要性も強く感じていました。自社のミドルウェア製品群と、今後ホットになると思われる業界、応用分野を幅広く検討した結果、IT化の進展が期待されている農業分野への参入がもっとも適切だろうと判断した訳です。

 

─このシステムのプロモーションについては、現在どのように行っているのでしょうか?

 

スマートアグリカルチャー、スマートアグリという言葉は最近になってようやく定着してきたと思います。全国各地の大学の研究者などを中心にして、組込み技術とIT技術を取り込んだ新しい農業への取り組みが開始されるようになり、多くの新しいプロジェクトが生まれています。こうした取り組みには、各地の先進的な農業生産者達も積極的に参加するようになってきています。当社は、このような全国各地の大学を核にしたプロジェクトを通じてこのシステムのプロモーションを行っています。私は米を中心に、果物、枝豆などの栽培が盛んな山形県庄内地方の出身ですので、故郷の農場、農家で当社のシステムが稼働する日が来ることを期待しています。

 

─阿部さんは、学生時代に機械工学科を専攻されたようですが、機械や精密機器ではなく、コンピュータ・ソフトウェア、特に組込みソフトの業界に入られたきっかけは何だったのでしょうか?

 

確かに学生時代は金属素材や機械加工などを中心に学び、コンピュータ、ましてマイコンなどとは全く無縁でした。卒業後に就職した大手通信機器メーカー系列の会社の面接時に「配属、職種の希望は、ハードウェア関連か、ソフトウェア関係か?」と尋ねられ、当時は何も知らずに、ハードウェアと聞くと作業服で汗と油まみれになる印象があって、「 それよりソフトウェアのほうが綺麗な恰好でいられるかな?」という単純な発想で思わず「ソフトウェア」と答えてしまったのが、きっかけです(笑)。入社後に配属された職場では、学生時代には全く無縁で、しかも自分では想像すらできなかったマイコンと格闘する日々が始まりました。配属先の職場にはマイコンを使いこなしている先輩が少なかったかったため、自分自身で独学、悪戦苦闘の末、6800から68000までのプロセッサを扱えるようになり、ハードウェアの回路図も理解できるようになりました。その後、現在の会社に転籍して、機械工学とはかなり離れた組込みソフトの業界に本格的に足を踏み入れ、今日に至っています。思えば学生時代にFORTRANなどのコンピュータ言語を学ばずにいたことが、逆にマイコンのアセンブラ言語や、その後に普及したC言語に対しても何の抵抗もなく、スムーズに入れた要因のひとつだったかなとも考えています。今は、完全に組込みソフト業界人になっていますが、当社が将来提供する各種のソリューションの開発には、高専時代に学んだ機械工学が役立つ日も必ず来るもと確信しています。

 

─本日はお忙しいところ有難うございました。今後のご活躍を期待しています。

 

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