画像で振り返るETWest2014②

会期中に行われた51セッションから注目のカンファレンスの模様を紹介

ETWest2014では、組込み業界が注目する応用分野の最新技術動向からエントリーレベルの技術者を対象とした技術セミナーまで、多彩なテーマによる51のカンファレンスプログラムが実施された。

 

目玉となる基調講演では、スマートエネルギー、ビッグデータ、オートモティブ、ロケットといったテーマで、過去最多の8講演が行われた。

 

特に人気だったのは、JAXA・川口淳一郎教授(宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授/シニアフェロー)と東京大学・坂村健教授(大学院情報学環学際情報学府 教授)の講演だ。

 

「はやぶさ」帰還後にもロケット技術に関連した講演をETWestで行っている川口教授は、今回『「はやぶさ」プロジェクト発のスマートエネルギー技術 ~ゼロから始める住宅電力制御~』と題し、ロケット技術を応用した住環境でのマネジメント方式を紹介した。
ロケットと住環境というと相反するイメージがあるが、はやぶさ探査機では機体各所に設けられ時々刻々と変動する大量のヒーターの電力消費を、実時間で詰め込むマネジメント方式を採用していた。このエネルギーマネジメント方式を軸に、将来の宇宙ビジョンとあわせ、これを応用した家庭向け電力制御装置の新方式を紹介した。
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ユーモアのあるソフトな語り口も好評だったJAXA・川口淳一郎教授の講演

東京大学・坂村健教授は、 11月のETでの基調講演でもお馴染みで会場は常に多くの聴講者で賑わう。今回も全セッションで最も多い302名の聴講者を数えた。
ビックデータと組込みシステム』と題した本講演では、ビッグデータの自動認識、解析、そして最適制御というモデルに必要とされる技術、さらに顕在化する組込みセキュリティ問題、プライバシーとパブリックのバランスといった側面にも踏み込んで語られた。
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「ビッグデータと組込み技術」について講演する坂村健教授。会場は超満員となった

基調講演のテーマとして欠かせないのがオートモティブ。最先端を行く組込み技術の実例に触れる機会とあって、人気セッションのひとつとなっている。
今回は、日産自動車から第一EV技術開発本部 EVパワートレイン開発部 エキスパートリーダーの安達和孝氏が登壇し、『世界最速ハイブリッド車への挑戦と実現』と題した講演が行われた。
今年2月に日本市場に投入されたQ50(スカイライン)は、動力性能世界一を維持し、燃費性能はクラストップレベルを至上命題として開発されたハイブリッド車。そのQ50に備わる世界一の動力性能0~100km/h/4.9秒、燃費18.4km/lを達成した技術と開発過程が語られた。

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「世界最速ハイブリッド車への挑戦と実現」と題した講演を行う日産自動車・安達和孝氏

今回、新たに実施されたひとつが「IoTトラック」で、6セッション用意された。
これからの組込みシステム開発に欠かすことにできないのが接続する技術であり、応用分野を成長拡大させる肝となる技術となる。IoTトラックは、そこに焦点を当てた専門トラックとして実施されたものだ。

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IoTトラックの開場を待つ聴講者

最初に登壇したのは、東京大学 先端科学技術研究センターの森川博之教授。『IoTの未来とデータの価値』と題して、IoTやM2Mによる将来像である「社会基盤としてのICT」の世界について語られた。
また知識ベース資産となるデータへの投資、スポーツにも農業にもあらゆるセグメントに参入できるフィールド志向のICTの必要性などに触れた。
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「IoTの未来とデータの価値」と題して講演する東京大学・森川 博之教授

こうしたIoTの動向をマーケティングの観点から解説したセッションが富士経済・鷹羽毅氏の講演。

ものにつながるインターネットで「拡がるサービス/便利なシステム/伸びる市場」~IoTとは何か?関連市場・ビジネス・業界を展望する~』と題して、生活から産業までの10大分野(*)で注目されるサービス事例や業界動向予測から、IoTに関連したビジネスチャンスについて語られた。

(*)10大分野 : 医療・バイオ/介護・福祉/健康・美容/交通・運輸/防災・安全/物流・搬送/セキュリティ/エネルギー/流通・販売/インダストリー

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IoTの将来像をマーケティングの観点から解説した富士経済・鷹羽毅氏

「知財セミナー」も今回新たに実施されたセッションだ。
IT×知財を操るワークショップ ~リスクから貴方の組込知財をマモル~』と題した本セッションは、自社製品開発や共同開発において増えつつある特許侵害、ノウハウの流出といったトラブルに対し、知財戦略の考え方や注意点などが、大阪大学 大学院 知的財産研究科の才川伸二郎教授とインテリクス特許法律事務所の弁理士・上羽秀敏氏から解説された。

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“組込み知財”をビジネス戦略として活かすノウハウなど具体的な内容が伝えられた

充実したテーマで質の高い内容が好評のテクニカルセッションは5セッション実施され、いすれも満席となる聴講者が集まった。


なかでも超満員となったセッションが、富士通ラーニングメディアの松尾圭浩氏による『さらに分かりやすくなった!定番!基礎から学ぶ組込みソフトウェア開発技術』。エントリークラスの技術者を対象とした本セッションでは、組込みソフトウェア開発を行ううえで必須となるI/Oマップ、割込み、ROM化、スタックなどの技術を基本概念まで掘り下げ解説するとともに、C言語を利用した組込みソフトウェア開発の実装方法、リアルタイムOSの基礎まで踏み込んで紹介された。

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エントリークラスの技術者に組込みソフト開発の基礎を解説する松尾圭浩氏

ETWestならではのプログラムとなるのがヒートアップセッション。組込み技術者が気になるホットなテーマを取り上げ、聴講者とともに盛り上げようとする意図で、今回は5セッションが組まれた。
人気となったひとつが、アジャイルをテーマとした『大規模+組込みでもできる!アジャイル! ~家電製品開発の事例と実践ポイント~』。聴講者の盛り上げ方に長けたパナソニックの前川直也氏(AVCネットワークス社 イメージングネットワーク事業部 主任技師)と、AVCテクノロジーの主任技師・陸野礼子氏が掛け合いながら、具体的な製品開発の取組みを通して、アジャイル導入のポイントや現場で活用するためのツールなどの秘訣を語った。

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会場を盛り上げながら解説するパナソニック 前川直也氏

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息のあった掛け合いをみせたAVCテクノロジー 陸野礼子氏

また“大阪色”を出したセッションが、大阪・日本橋 ものつくり拠点 ROBOBAメンバーがパネリストとして参加した『「3D関連技術」×「クラウド」で「ものづくり」のBig Bangを!』。
大阪・日本橋の電気街「でんでんタウン」を拠点とし、若いエンジニアやベンチャー企業に作業場所や開発環境を提供するなど活動支援を行う“ROBOBAの住人”をパネリストに、3Dプリンタに代表される3D関連技術とクラウドサービスの組み合わせで可能となる世界が議論された。

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ROBOBAメンバーによるセッションの模様

もうひとつ、前回に続き行われた関西組込み企業の社長陣によるセッション。『今年もやります!関西組込み産業社長セッション ~組込み産業会社社長によるフリートークショー~』と題し、日新システムズ・竹内嘉一社長、Bee・塩路直大社長、ハネロン・橋本知宙社長、ワールドエンジニアリング・永井眞也社長といった顔ぶれで熱い議論が展開された。
今後もETWestならではの人気セッションのひとつとして定着しそうだ。

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関西組込み産業社長セッションの模様

(樋口泰光)

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