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必要ないものを作りたい
有限会社スペースソフト
代表取締役社長 北山 洋幸
Embedded業界に関して,それほど詳しいわけではありませんが,雑文を掲載いただけるとの話しを頂きましたので,書かせて頂くことにしました.
自己紹介
二十数年前,鹿児島の片田舎(川辺郡知覧町)から這い出てきて,富士通株式会社へ入社しました.このころは技術部門に入社した新人は丁稚奉公のような感じで,毎朝掃除に明け暮れ,仕事というのは名目で勉強ばかりを2年ほどやらされました.一人前になった頃(本当?),給料が良いという甘言に負けて,横河ヒューレット・パッカード株式会社(現日本ヒューレット・パッカード株式会社)へ転職したのが,二十代後半の頃です.富士通ではメインフレームの開発に携わっていたため,仕事上はEmbeddedとの接点はありませんでした.ただ,当時はマイクロプロセッサの出現時期でしたので,趣味で8008やNSのSC/MP-IIでパソコンもどきを開発しました.現在の「自作...」の様なプラモデル組み立てるようなものではなく,回路を設計し,ROMライタ(±12Vが必要だし,面倒だった)を自作し,ROMイレーサは冷蔵庫の殺菌灯を使い,CRTCをディスクリートで組む必要がありました.
横河ヒューレット・パッカードでは,グラフィックスターミナル,プリンタ,パソコンなど周辺機の開発に従事したので,Embeddedへ近づきました.当時HPはICEも開発しており,ICEやロジアナに触れたのもこのころです.
その後,米国ヒューレット・パッカード社へ出向になったり,プリンタの開発で,アイダホへ出かけたりと楽しい日々が続きました.シリコンバレーの文化に触れ,日米におけるエンジニアの地位の違いに驚いたのもこのころです.今でも当時と何も変わっておらず,日本のエンジニアは評価が不当に低い感じを受けます.日本へ帰ってきてからは,EDAツールの開発を行い,またまたEmbeddedと遠ざかったような気もしましたが,CPUを設計したりシーケンサを設計したりと,Embeddedと無関係であったわけではありません.基本的にソフトウェアサイドの開発でしたので,ハードウェアに詳しくはありません.ただ,一応回路図は見ますし,ロジアナもいじります.LSIの論理設計も可能です.
ヒューレット・パッカード社がEDAから撤退するというので,「じゃそろそろサラリーマンもやめどきか!」と,思いつきで作った会社がスペースソフトです.当時,長男が生まれる直前で,彼が生まれたときの私の職業欄が"無職"となっていたのが,悲しいような切ないような思い出です.将来への不安もあったので複雑でした.
注目している分野
一貫してMedia Convergenceの分野に注目しています.IEEE 1394は,初期の頃からやっていますが,なかなか収入として見ると大きくありません.しかし,開発機材,測定器,IP,EDA環境などを,いろいろな個人や企業から支援を頂いて,何とか続けて来られました.これからも,IEEE1394はもちろん,USB
2.0, Bluetooth, HomePNA, Jini, UPnP, HAVi, ECHONET, 画像処理,通信などなどメディア統合に関係あるものには首を突っ込もうと思っています.
そして.できれば「必要のないもの」を中心に考えています.無くてはならないものや,役に立つものはつまらないです.良い意味で「無駄なもの」を開発することにしています.ITやインターネットの解説を聞いていると「効率やスピード」を上げる人が多いです.確かに,売り上げは良くなるし,便利になるでしょう.しかし,それが幸せにつながるかというと,そうでもないように感じます.もう少し,良い意味の無駄が日本には必要な気がします.もっとも変な無駄は既にいっぱいありますので,そういう無駄にならないように気をつけなければなりません.
なぜ組み込み
なぜ,組み込みに首を突っ込んでいるかというと,話しは単純で,面白いからです.メインフレーム,UNIX,パソコンも面白かったのですが,技術的にmatureな感じを否めません.同時に,何か動く物(単純なソフトウェアだけではないもの)を作りたい気持ちもあり,Embedded関係の仕事が多くなっています.
メインフレーム,UNIX,パソコン,Embeddedという区分けは,アプリケーションではなくプラットフォームです.プラットフォームは,やりたいこととは関係しないと言えなくもないのですが,いわゆるコンピュータで何かを実現しようとすると制約が多いです.と言うことで,最近はEmbeddedが多いです.ただ,アプリケーションを優先しますのでプラットフォームにはこだわっている訳ではありません.
会社紹介&宣伝
設立してから数年が経ちますが,規模も大きくならないし,売り上げも大して変わらない変な会社です.ほとんど趣味の延長の様な会社です.仕事を選ぶときも,金額より,おもしろさや好き嫌いで決めてしまいます.それでも,何とかやっていけるのだから,世の中には優しい人が多いのだろうと感謝しています.
会社をはじめるときは,どういう会社にしたいが考えます.私は工場ではなく,工房にしたい.そして,「好きなことを,信念を持って長くやる」ということを念頭に置きました.まあ,格好いいことを書きましたが,本音は「あまり働きたくないし,好きでもないことをパンのためにやるのもいやだな」と言うことです.100%希望通りとは行きませんが,ほぼ満足できる状況です.お客さんの満足も大事ですが,自分の満足も大事です.
くどいですが,フォーカスしている分野はMedia Convergenceです.その一環としてIEEE1394の開発には長い期間を使っています.ただ,足かけが長いだけで,実際の開発期間が長いわけではありません.もっと時間をかけたいし,アイデアがないわけでもないのですが,アイデアがあっても予算が足りない状態です.稼いでは開発,稼いでは開発の自転車操業から這い出せずにいます.ただ,稼ぐときの仕事は選んでいます.最近でもHome
Gatewayのコンサルティングや,MPEGなどの画像処理など,Media Convergenceに必要不可欠な分野を中心にしています.
最近,IEEE1394開発キットも売り出しました.IEEE1394関係の開発を始める方は是非購入を検討ください.市販のLSIを使った製品ですが,IPにも対応可能です.そのIPも使用できる環境を整えてありますので,短期間でスタートアップできます.Embedded用のHost
USB やUSB 2.0も手がけています.
末筆ながら,掲載のチャンスを提供くださった中村正規様,そして日頃から支援を頂いている皆様に感謝いたします.また,EISのさらなる発展を願っております.
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